職場の人間関係をこれ以上悪化させないために

職場の人間関係が悪化することがある。とてもつらい。従業員の人数が少ない事務所だったら、なおさらだ。必ず顔を合わせなければならない上司や同僚、部下が、自分を嫌い、これまでのように楽しい関係が築けなくなってしまえば、ストレスとなる。

態度が激変、陰口をいうようになった同僚

ある女性の同僚との仲が急変したことがある。

ほんの些細な口喧嘩がきっかけで、口をきかなくなり、仕事で接していてもつっけんどんな態度を取られる。

そのうち、私のやることなすこと一つ一つに文句を言うようになり、それを他の同僚と噂するようになった。

陰口を言われたのを聞いたことがあり、私に聞かれたことを知った彼女は、「やべえ」という表情で薄笑いをした。そして次から陰口を叩いていることを隠さなくなった。

私がミスをすると、そのたびに彼女たちはクスクスと笑い、なにごとかを話している。そういう場面を何度も目撃すれば、それがすべて自分に向けた陰口だということはバカでも分かる。これまで仲良かっただけに、態度の悪化は心理的にこたえた。

彼女を中心にして、悪意の輪が広がり、次第に職場の人間関係が悪くなっていった。職場にいづらくなった数ヶ月の間は、毎日胃が痛かった。

すぐに辞められない場合にどうするか?

同じような経験をした人はたくさんいるだろうが、ではどうすればこの問題を解決できるか?

一番簡単なのは、職場を辞めてしまうことだ。嫌な職場に固執する必要はなにもない。

もしもあなたが生まれてこの方、良好な人間関係を築けた期間がある程度あるならば、あなた自身というよりも、職場、もしくは特定の個人に問題がある。

もっとも、あなた自身に大きな原因がある場合もある。その場合は、あなたが変わらなければどの職場に行ってもうまくいかない。そこは見極める必要がある。

あなたが楽しく働ける職場は、ほかにたくさんある。転職すればいい。

出典:photoAC

ただ、すぐに辞められないこともある。

  • 貯金がないから転職できない。
  • 能力もないからここで踏ん張るしかない。
  • 転職先がどうしても決まらない。
  • 親の介護の関係で今の職場でがんばるしかない。
  • 仕事自体が気に入っているので、職場を変えたくはない。
  • 自分に原因があるので、なんとか人間関係修復をがんばりたい。

……etc.

辞めたくても辞められない。簡単に解決できる物事ばかりではないのだ。

では、辞めないことを選択したとしたら、この破壊された人間関係にどうアプローチすればいいのだろうか?

まずは原因を解決する

ある人物とトラブルになった場合に決定的な原因があることがある。それがあるなら、原因を解決することが先決だ。

たとえば、おカネを借りて返していないことがトラブルの原因だった場合に、おカネを返さずに仲良くなろうとしても無理であることは、容易に想像できるだろう。

その場合には、まずカネを返し、返すことが遅れたことに対して、謝ろう。

「以前はカネを返さなくてもうるさく言わなくなったのだから、前と同じように、カネを返さなくても仲良くやっていきたい」

という人がたまにいるが(それも極めて頻繁に)、そのような方法を私は知らないし、知っていても教えたくはない。

自分に大きな、悪質な原因があるのだとしたら、それを解決するのは社会人として当然と言える。わかりやすい原因があれば、それを解消することをまずは目標としてほしい。

原因がわからない場合、解消しても仲が戻らない場合

ところが、そもそもなぜ相手が自分を毛嫌いし始めたのか、わからない場合もある。いや、そちらのほうが多い。

感情の起伏が激しい人は、些細なことがきっかけで他人を毛嫌いする。その対象にあなたがたまたま選ばれたのかもしれない。

このような場合に、いくら原因を追求しようとしても無駄足に終わる。

「あいつの笑顔はうさんくさい。気分が悪い」

と上司が言っていたと同僚が教えてくれたとする。そういえば、それ以来自分に対する当たりが強い、だったら笑顔を工夫しよう、と考えて鏡の前で練習しても、たいてい徒労に終わる。

なぜなら、笑顔だとか曖昧なことであなたを嫌うような人間は、他人を嫌う理由などなんでもよかったのだ。あなたがいくら嫌われないように努力しても、さらに別の原因をみつけてくるだけだ。

原因もなく、他人を急激に毛嫌いするような人間には、いくら原因を問いただしても曖昧な答えしかかえってこないことも多い(自分でもよくわかっていないから)。

それに、いくらこちらに非があったとしても、急に人間関係を悪化させて嫌がらせするような人間の人格に問題がある。

その場合、原因となるトラブルらしきものを探して解決しても、謝っても、
「は、だから?」
と言われて、仲が悪いまま、というケースもよくある。

原因を取り除いても、感情悪化は改善しない

トラブルの原因を除去してもダメ、自分が嫌われないように行動してもダメ。

それは、ガソリンに火をつけた後は、滅多に消えないのと似ている。

ガソリンの中に燃えた新聞紙を入れて火をつけた場合、当然ガソリンは燃え上がる。導火線となった燃えた新聞紙を取り除いても、ガソリンの火は消えない。

さきほど例に出した、借金の返済をしない、という原因は、燃え盛るガソリンにさらにガソリンを追加するようなものだから、取り除くのには大きな意味がある。

それに対して、相手がガソリンのような可燃性の問題ある人物の場合、関係が一度悪化すると原因を除去しても修復しない。

あなたに嫌がらせをするような人間の感情は、あなたへの憎悪でいっぱいだ。消そうとすればするほど、火は燃え広がる。あなたをどうにかして焼き尽くそうと、勢いは強くなるばかりだろう。

ではどうすればいいのか?

関係を修復するのではなく、沈静化させる方向にシフトすることだ。

悪意に悪意で反応するのは相手の思うつぼ

人間関係が悪化した後、相手の悪意に過剰に反応する人がいる。陰口を言われたら、大声で言い返したり、相手が怒鳴るようになったら、同じように怒鳴り返したり、陰口を叩かれたら泣き出したり。

だが、これは最悪の反応だ。悪意への反応は逆効果になることが多いので、今すぐやめたほうがいい。

相手は、悪意をあなたに示すことで、あなたを威嚇している。陰口をたたく、嫌がらせをする、怒鳴るなど、どれもあなたへの威嚇だ。

それは、間違いなくあなたの反応を見たくてやっている。なぜか? 一つは自己正当化のためだ。

彼、または彼女にとって、あなたに嫌がらせをする自分が正しいと思いたい。だからあなたに嫌がらせをする。そしてあなたが相手に反応を示せば、
「ほら、あいつだって私を嫌っている。だから私だってあいつを嫌ってもいい」
という免罪符をもらったような気持ちになるのだ。

または、あなたが苦しむのをとにかく見たい、というサディスティックな気持ちでする場合も多い。

だから、怒鳴ったり嫌がらせを仕返したりすることは相手の期待に応えることだ。それはやめたほうがいい。

親切に接することも逆効果

それなら、相手にニコニコと対応してはどうだろうか?

「ニコニコと挨拶する人に、悪口を言う人なんていないんだよ。
いつでもわらっていなさい。
明るい顔で、大声で挨拶すれば、必ず人間関係は良くなる。
仏教ではそれを、和顔愛語(わがんあいご)というんだよ」

これはある自己啓発書に書いていた内容だが、このとおりに行動して、悪化した人間関係を修復できたことは一度たりともなかった。私はこの方法を何度も試して、すべて逆効果だったことをご報告しておきたい。

なぜか?

簡単なことだ。誰もが自己正当化したいからだ。

自分がこれほどあなたを嫌うのに、あなたから優しい対応を取られれば、自分が悪者になってしまう、と彼(彼女)は考える。

そうすると、周囲の人間が自分のことを影で「心が狭い」とけなすようになるかもしれない、自分の地位が下がるかも知れない、自分の評判が落ちるかもしれない、と考える。

恐怖以外の何者でもない。

だから余計に意固地になって、あなたをたたく……つまり、余計に人間関係が悪化することになる。

反応しない訓練

ではどうすればいいのか? 簡単だ。反応しないことだ。

いたずらに怖がらない。
陰口を言われても、黙って聞き流す。
かといって、嫌なことをする相手に笑いかけたり挨拶をしたりして、相手を刺激しない。
相手の嫌がらせに対して、効いていないふりをする。
愚痴を社内ではこぼさない。

これを徹底する。

期間は3ヶ月を目安に考えてほしい。

長いようだが、3ヶ月反応しないよう訓練をすれば、大抵の嫌がらせは収まる。相手も段々と無視するようになる。そして沈静化する。

ガソリンが燃えていても、遠巻きに見ているようなものだ。やがてガソリンも尽きる。そしてあなたは無傷である。

時間がかかるが、反応せずに相手に合わせて、無視を決め込み、穏やかな態度をとることが、一番事態を沈静化させるのに役立った。

工夫や努力もそれほど必要とせず、忍耐力だけを必要とする方法なので、試してみてほしい。

 


 

しかし、これだけでは人間関係の悪化はさまたげられても、修復するまでにはいたらない。

人間関係の修復法はあるか? ある。

ただ、記事が長くなったので、修復法については、別の記事「職場の人間関係を修復するには」にまとめた。

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