やってはいけないことがある―ネットワークビジネス

やってはいけないことがある―ネットワークビジネス

現状を打破するために、手っ取り早く金を稼ぎたいと考える人は多いだろう。そのための方法として、底辺にいると忍び寄ってくるのがネットワークビジネスだ。

マルチ商法とか、MLM(マルチレベルマーケティング)とか、名称は異なるけれどもどれも同じで、健康食品やサプリメントなどの販売と人的販売網拡大を目的とする。

販売手数料だけではなく、販売網拡大に伴う紹介料の階層的獲得により、莫大な利益を手に入れられると彼らは喧伝する。

ビジネスを学べるチャンスだとかビジネスの第一歩だとか、様々な甘言を弄して仲間に引き込もうとする。

誘いにのってはいけない。関わってはいけない。

人間関係という命綱を切り裂く

ネットワークビジネスの陰湿なところは、人間にとってもっとも大切な「人間関係」に利害関係と上下関係を持ち込むことだ。

ネットワークビジネスは、初期投資が必要ない。失うものはなにもない

と言って誘われる場合もあるけれども、初期投資も失うものもある。それはあなたの友人関係だ。

予防医学研究者の石川善樹氏には『友だちの数で寿命はきまる』というそのものズバリの著作があり、研究結果として「『つながり』が少ないと死亡率が2倍」「お見舞いにきてくれる人の数で余命が変わる」「孤独は喫煙より身体に悪い」ことなどを挙げている。

どんなにコミュ障であろうとも、家族や親戚など、周囲との最低限の関係は誰しも持っている。親友はいなくても、無駄話ができる知人1人くらいはいるだろう。

ネットワークビジネスは、それを奪い、切断する。交友関係はいざというときのライフラインとなりうるものだが、ネットワークビジネスは命綱を切断するのだ。

「友だちに商品を売りましょう」

ネットワークビジネスを勧められた場合、まず指示されるのが、友人や知人に商品を紹介することだ。

ネットワークビジネスによっては、あなたが契約書を結んだあとに、いきなり、
「あなたの知り合いをこの紙に100人、書いてほしい」
と指示し、書いたら、上の知り合いから順に、自社商品を売るように命令するところもある。

「あなたを本当に大切にしている友達だったら、あなたが商売を始めたならば、つきあいで石鹸一つくらい買ってくれるもの。なにも、高額な商品を売りつけろとは言っていない。それすら買いたくない、というなら、それは本当の友達ではないから早々に関係を切った方がいい」

このようなことを言って、あなたが友だちにネットワークビジネスの商品を売ることを正当化する。

出来ないと言えば、本気度が足りない、あなたは自信が無いものを売るつもりで私達の仲間になったのか? と詰め寄られる。

あなたの友達に無理強いするのがネットワークビジネス

「友達だったら石鹸一つくらい買うはずだ」

という声には、たしかに一理ある。私だって、友達がコンビニを始めたら、おつきあいでおにぎりくらい買いに行く。

だが、ネットワークビジネスは胡散臭いと多くの人が知っているという事実を認識してほしい。あなたを傷つけたくないから、真っ向からそれを否定しないだけだ。または、洗脳された人に何を言っても無駄だと思われているのかも知れない。

その結果、あなたのためを思って、商品を買わないだけかも知れない。それを、友達ではないと切り捨てると、あなたは大切なものを失うことになる。

そもそもネットワークビジネスに興味も関心も持たない人にとっては、商品をお店以外で買うのは慣れない行為で、そのこと自体、忌避感を持つものだ。それを断ることが友情の否定だろうか?

それに一度買えば、二度三度と、買えかえと勧められのではないか、と恐怖を覚えているのかも知れない。友達であってもあなたから買わないのには、ほかにもいくつもの理由があるだろう。

それなのに「買わないのは友達じゃない」「あなたが信じたものを友達にすら勧められないなら、あなたが悪いか、その友達が悪い」と追い込むのがネットワークビジネスに関わる人々の常套手段だ。

友だちが上司になり、友だちをが部下になる

また、ネットワークビジネスはあなたにネットワークビジネスを紹介した人(ディストリビューターと呼ばれる)が、指示系統上の上司となり、あなたが商品を売った利益の数%がディストリビューターへと一生支払われることになる。

その関係は、あなたが商品を売った友人との間にも出来上がる。フラットであるべき友情に上下関係が持ち込まれるのだ。

友達がどんどん離れていく

その結果、あなたから多くの友達が離れていく。

  • 自分に商品を売りつける。
  • 商品を買わないと友達関係を解消する。
  • 自分を人間関係上で下位に落とそうとする。
  • 余計なお世話を焼く。

こんな人物と、わざわざつきあいたいと思う人がいるだろうか? いるわけがない。

その上、相手に払ったカネが相手の生活を支えているとなると、自分は金づるだと思われているのだろうか? 私とつきあっているのはカネのためか? と疑うようになり、最初は好意的だった友情すら壊れることもある。

元々の繋がりは切断され、失われていき、ネットワークビジネスで知り合った友だちばかりが周りに残り、もはやネットワークビジネス関係以外で友だちを作れない。

こうなると、抜け出ることができない。数年あとに牢獄のような状態におちいって、苦しむ人がどれほど多いことか。

ネットワークビジネスでできた友人は失うのも早い

「それでもネットワークビジネス関係の友人が増えるなら良いじゃないか」

と思うかもしれない。しかし、このネットワークは利害関係を元にしたものなので、やめればピタリと関係が切れる。

それだけではなく、趣味や価値観が同じだからつきあっているわけではなく、あくまでビジネスを中心とした関係だから、話す内容もビジネスのことばかり。

くだらない話をしたり、会話自体を楽しんだりする時間が日常から失われていく。

さらに言えば、ネットワークビジネスが怪しいもので、その会員は、油断をするとすぐに自分に商品を売りつけたり、ネットワークビジネスに勧誘しようとしたりすることは、金持ちの間で周知されている。

だから、まともな人間はネットワークビジネスで稼いだ人間と交友関係を持とうとはしない。

世界で一流と言われる人と、クルーザーの上で一緒に写った写真を、ディストリビューターから見せられた人がいるかも知れない。一緒に写真に写ることはあるだろう。酒を一緒に飲み、会話することもあるだろう。しかし、そこ止まりで、それ以上のつきあいは持たないものだ。

つまり今後は、あなたが成功しても、まともな人間関係が築けない可能性が高い。

儲かる人は一部だけ

そもそも、儲けの構造を観れば、大儲けをするのは一部の人間だけだ。

年収一億円などの言葉が一人歩きをするが、利益は下位会員やさらなる下位会員の販売収益の一部が積み重なったものだ。一億円を稼ぐために、下位会員がどれほど必要なのかを計算すれば、いびつなピラミッド構造となっていることを知るだろう。

ピラミッド構造では、上位者だけが儲かり、下位者は搾取されるばかりだ。

「ネットワークビジネス」と言われるとフラットなものを思い浮かべるが、「ピラミッドビジネス」の方が実態に近い。

ぱくたそ

ネットワークビジネスをフランチャイズチェーンに例えるディストリビューターもいる。しかしフランチャイズチェーンでは本部が広告を売ったり宣伝に協力したりして、必ず商品が売れる仕組みができている。

しかしネットワークビジネスでは、必ず商品が売れる仕組みは整っていないので、必ず売れるわけではない。

売れない間は無収入だ。営業社員は売れなくても基本給が支払われるのに、ネットワークビジネスに関わるといくら働いても収入ゼロとなる可能性も高い。

そのうえ、関わった大多数の人間が「人間関係」という貴重な人的資本を失うのだから、費やした金や時間の割には報われない可能性が高すぎるビジネスだ。

得られる期待利益に比べると、期待損失が大きすぎる。

現状から脱出したくても、ネットワークビジネスには絶対に手を出してはならないだろう。

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