ブラック企業から脱出するために派遣社員というステップを挟む

ブラック企業から脱出するために派遣社員というステップを挟む

ブラック企業から脱出したいのに脱出できない理由にはいろいろある。

理由の一つに、上司から脅迫を受けている場合がある。

ブラック企業と縁のない人からすると信じられないかもしれないが、21世紀の日本で、脅迫されて勤務先に縛りつけられている人は、みなさんが考えている以上に多い。

ブラック企業に縛り付けるために脅迫が使われる

そもそも、これだけ選択肢がある世の中で、待遇改善をせずに従業員をブラック企業にしばりつけるためには、長時間労働させて転職活動をする気力をなくすとか、さまざまな責任を負わせて身動きを取らせなくするとか、強制力を駆使する以外に方法はない。

その中で、脅迫はもっとも簡単に人間をしばりつけられる。

「いいか、辞めようという気なんて起こすなよ、ただじゃすまさんぞ」
「辞めたら、履歴書に書いているお前の以前の職場に順番に電話して、お前の勤務態度がどれほどいい加減だったのか教えてやるぞ」

怒声を日常的に浴びせ、考える能力を奪うのだ。

「脅迫されているのなら、警察に行けばいい」

と気軽にアドバイスする人がいる。しかし警察は証拠がないと動かない。証拠を録音しようとしても、録音機を持っているときに都合よく脅迫してくれるとは限らない。

日常的な脅迫が抵抗力を奪っていく

日常的に威圧されている人は、加害者に逆らうことが怖くてたまらない。録音したことがバレたらと思うと、身体が硬直して録音機の録音ボタンを押せなくなっている。

それを臆病というなかれ。

ブラック企業には、証拠を残さずに他人をいたぶる人間が多数生息している。彼らに痛めつけられ続けた人は、抵抗力を次第に奪われていく。

抵抗する力が無くなるのを見計らって、ブラック企業の加害者たちは、次第に脅迫の度合いを強めていく。暴言を放つ、暴力をふるう。被害者はすべてを受容してしまう。

そうなると、明白な犯罪の被害を受けても、抵抗できず、証拠をつかむこともできず、逃れることが難しくなる。

転職先をどうにか見つけたとしても

それでも、逃れたいとようやく思えるようになり、少ない時間を確保してやっとの思いで転職先を見つけたとする。

退職したいと伝えてすんなり通るわけがなく、当然脅迫を受ける。そのときに多い脅迫は、「お前の仕事を邪魔してやる」というものだ。

「いいか、お前がどれだけ無能か、次の職場に電話して話してやる。『今度お宅に入った◯◯の働き具合はどうですか? あいつはここの会社では厄介者だったから、心配して電話したんですよ』と電話してやるぞ」

ぱくたそ

「お前には盗癖があるらしいやないか(実際は無いのに)。『そういう噂がありました。確証はありませんが、どうにも心配です』と、お前を雇った会社の人事部にコソッと教えてやるのは我々の義務だ。そうだろ?」
「お前の転職先を探す方法なんざ簡単だ。役所には知り合いがいる。『社会保険の手続きなどが必要だが、辞めた社員と連絡が取れない。転職先に送付したい』と言えば、お前の転職先なんてすぐに教えてもらえる」

このように脅迫して、転職を思いとどまらせようとする。

職場の脅迫で警察が動くことはマレ

脅迫だろ? 警察に行けば逮捕してくれるよ、とアドバイスする人がいるが、警察は簡単には動かない。「しゃぶしゃぶ温野菜」の元店長は元アルバイト生を包丁で刺したにも関わらず、逮捕されることはなかった。

加害者は平気でシラを切る。証拠をつきつけようとも、ノラリクラリと交わす。彼らはカネがあるから、弁護士を雇う。弁護士は徹底的に依頼者の見方だ。一従業員が抵抗するのは難しい。

ゴタゴタを次の職場に持ち込むことを恐れて、転職をあきらめる人もいるだろう。

こんな理不尽なことをする人間がいるのだろうか? とブラック企業と縁遠い人は思うかもしれないが、いる。

ワンステップ踏む、という考え方

ブラック企業から逃れたい人は、次こそ良い職場で働きたいと考える。そしてやっとのおもいで見つけた転職先に、ゴタゴタを持ち込みたいわけがない。その結果、転職をあきらめる。

……もったいない話だ。

そこでオススメしたい方法がある。

いきなり理想の会社に転職するのではなく、ワンステップ挟むという方法だ。一番いいのは、一時期派遣会社に勤めるという方法だ。

実のところ、社会保険の手続きで、以前の職場に次に転職先が伝わることはない。それでも、初めて転職する人は、社会保険の手続がどのようなものなのかわからないから、本当に情報が伝わらないかどうか、冷静に判断できないだろう。

役所も、最近は個人情報保護を徹底するようになったから、転職先がどこかを、ブラック企業側に教えることはない、と言いたいが、地方の役所はいいかげんなところもある。

内部告発者名を企業側に漏洩 横浜市、産廃処理めぐり(2017年7月20日)

横浜市は19日、産業廃棄物の処理をめぐり市内企業の従業員からファクスやメールで寄せられた内部告発について、市職員が当該企業に告発者名などの個人情報を漏洩(ろうえい)していたと発表した。当該企業に事実関係を確認する際に、当該企業も告発者が誰なのかを把握していると勘違いし、送っても問題がないと判断してしまったという。

内部告発というもっとも秘匿性が必要な情報すら漏らす公務員が、元従業員の次の職場名を教えないとは限らない。

役所以外にも、自分の勤め先が前職先にバレる可能性のある機会はたくさんある。

そこで、派遣会社で働く、という選択だ。

派遣会社だったら、所属先と派遣先が異なる。所属先である派遣会社は、いくら問い合わせがあろうとも、次の職場がどこなのか、前職のブラック企業に伝えることはない。それを簡単に教えてトラブルとなったら、派遣先から切られてしまう。

派遣会社の多くが時給制で、定時に必ず仕事が終わる。まかされる責任も少ない。

ブラック企業で働いていた人が、十分に休息し、落ち着くための場として、派遣会社は適当な場所だ。

早めに抜け出なければならない

ただ、給料が低い割に安定しているために、派遣会社で働いていると落ち着いてしまい、そこから抜け出られなくなる危険性がある。

派遣会社に数ヶ月いるつもりが、10年以上も働いているという人に私は何人も会った。責任ある仕事を任されないからストレスもたまりにくい。ときどき妙な人間が混じることもあるが、それもすぐに辞めていく。

いつの間にか古株になると、さらに居心地がよくなる。

派遣社員のまま年を重ねてしまう人が増えているので、そこには注意してほしいが、ブラック企業からの避難先として派遣会社でしばらく働くのは、悪くない洗濯だと思う。

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