過去の過ちを責め立てる妻に、夫はどう対応すれば良いのか?

過去の過ちを責め立てる妻に、夫はどう対応すれば良いのか?

先日、Twitterを眺めていたら、ある女性のつぶやきが目に止まった。

妊娠中に、夫から一切家事をしてくれなかったり暴言を吐かれたことが、どうしても許せない。今は改心して良い夫だけど、どうしても過去のことを責めてしまう。そんな自分が嫌だ。

このような内容だったように記憶している。たくさんの女性がイイね! を押していた。女性にとって、共感を得る内容だったのだろう。

過失を犯した人間が悪い、しかし

ところが、夫にとってはゾッとする話ではないだろうか?

現に妻から何年も、何十年も、過去のことを持ち出されて責められている者にとっては、なおのこと……。

もちろん、過去に悪行を働いた夫が悪い。悪いのだが、いくら謝ろうと許さず、責め立てる時間が次第に伸び、何年経っても終わりないとなると、それは虐待を受けているようなものではないのか?

冒頭で紹介した妻のように、加害者は最初のうちは自分自身を責める。しかし、時間が経つうちに虐待を正当化してしまうのだ。

この正当化の作業に手をこまねいていると、虐待は日常となり、恒常化して、とどまることをしらない。被害者の精神は日に日に壊されてゆく。

妻の脅迫に怯える環境は、夫にとって地獄であるし、子供にとっても有害であろう。

私達男性は、家庭を守るためにどう行動すれば良いのだろうか?

ゲーム理論に則った攻略法

虐待と我慢の関係が固定化されると、覆すことは難しくなる。早めに対処することが必要だ。

対応のためには参考になる理論と実験がある。

それが「ゲーム理論」と「しっぺ返し戦略」だ。

1980年の話である。

アメリカ合衆国ミシガン大学の政治学者であるロバート・アクセルロッドは、
「コンピューター・プログラムを用いた戦略コンテストをリーグ戦方式で行おう」
と、世界中のゲーム理論学者、社会科学者などに対して呼びかけ、多くの専門家がそれに応えて集まった。

アクセルロッドの主催したゲームの内容

ゲームは1対1に分かれ、点数を競い合う、というもの。

相手が協力を選び、自分が裏切った場合が一番点数が高く、5点を獲得できる。

お互いが協力を選べば3点、お互い裏切れば1点しか得られず、自分が協力しても相手に裏切られれば点数は0になり、相手に5点が追加される。

腕に覚えのあるプログラマーたちが、複雑な戦略プログラムを立てて臨んだ大会だったが、2回連続で優勝したのは、たった4行のコードで書かれた単純な戦略プログラムだったという。

それが「しっぺ返し」と呼ばれる戦略だ。

しっぺ返し(Tit for tat=報復)戦略

優勝チームは、相手がどのような選択を選ぼうと、最初には必ず「協力」を選び、その次には、前回に相手にされた行動と同じ行動を選択することにした。

つまり、相手が前回、協力してくれるならばこちらも協調し、相手が裏切れば、自分も裏切る。

プログラムだから、何百回、何千回という対戦がコンピューターで瞬時に行われる。その果てに、高得点を叩き出すのは、「しっぺ返し」という単純な戦略を取ったチームだった。

この実験が世界に与えた衝撃は大きく、今のイスラエルが、軍事作戦や外交戦略に応用していると言われている。

謝られるうちにエスカレートする怒り

話を夫婦関係に戻す。

妻が夫を責め立てる行為は、最初は恐る恐る、行われる。

それに対して、夫が悪かった、と頭を垂れると、責め立てた妻は、満足する。

ところが、何かがきっかけとなり、再び過去のことが頭をよぎる。フラッシュバックして、イライラして、そのいらいらを相手にぶつけ、責める。このとき、前回よりも言動が荒くなる。

すると夫は、前回も謝れば相手が許してくれるから、少々エスカレートした言動にも目をつぶり、謝る。

本当は、ここで断ち切らなければならないのだが、ここで折れることで悲劇が始まる。

妻の感情爆発はエスカレートしていき、止められなくなる。いつまでもぶり返し、延々と続いていく。

責められたら、責め返す

……以上のような状態になった家庭を見聞きした人は多いだろう。

自分の親がそうだった、という人もいるだろう。

そうなりたくないと考えるならば。

自分も同じレベルに落ちなければならない。

相手が過去の自分の言動をもとに責め立てるのならば、自分もまた、過去の相手の嫌な言動を思い起こして、相手を同じ程度で、責めるのだ。

あなただって許せないことを言われてはいないか?

そもそも夫婦として暮らしていれば、決して許せない発言をされるようなことは、まま、あるものだ。

しかし、自分が以前大きな過失をしていた場合(たとえば妊娠中に家事を手伝わなかったとか、産後数ヶ月の妻が風を引いているのに料理を作ってくれと命じたとか、妻の親をからかう発言をしたとか)、相手の非を責めるのを遠慮してしまう。

しかし、あなたも同じように、たとえば能力をバカにされたり、自分の親を悪しざまに言われたりしたのならば、怒って良いはずなのだ。怒らないから、あなたはずっと責められ、その関係が固定化する。

相手に嫌なことを言われたのならば、自分もまた、相手に嫌なことを言わなければならない。

そして、相手が話し合いに応じるのならば、自分も穏やかに話し、相手がカッとなれば、自分も怒鳴る。

声を荒げて、にらみつけて。

争いは同じレベルの者同士でしか発生しない

「争いは同じレベルの者同士でしか発生しない」

という有名な言葉がある。

若木民喜『神のみぞ知るセカイ』(小学館)

漫画の中の一コマが有名となり、転じて、喧嘩をすることを戒める格言となっている。

ただ、逆に言えば、同じレベルに落ちたとき、ようやく対等に争えるようになる、ということでもある。

夫が暴力を振るう家庭でも同じだ。

夫の暴力は、最初はちょっとしたゲンコツや肘でつつく、などの軽い行為から始まる。

夫にされることが嫌だから、自分は反撃したりしない、という奥様も多いだろう。

しかし、それでは駄目なのだ。

もしもDVを振るうような男とでも、円満な関係を築いていきたければ、ちょっとした暴力を許さず、すぐに反撃して、痛いことは止めて欲しい、と根気よく言い続けなければならない。

その努力が、将来的な暴力を防ぐことになる。

圧政への抵抗は人に与えられた権利

「しっぺ返し」「報復」というと言葉がどぎついが、「抵抗」と言い換えれば共感してもらえるかもしれない。

道理に反した圧力には抵抗しなければならない。

相手と仲良く過ごしていきたいのならば、なおさらだ。

もっとも、相手以上に強くやり返して(倍返しとか)、逆に自分が加害者側になっては、絶対にいけない。

しかし、同じ程度に抵抗していけば、いずれは相手が疲れ、歩み寄る場面も出てくるだろう。そのときに協力して、お互いに許しあうことができるだろう。

何十年もかけて、お互い対等で気兼ねのない夫婦関係を築いていくようにしたい。

決して、ヤラレっぱなしの関係を許してはいけない。

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