高学歴ワープアとなる原因とは

高学歴ワープアとなる原因とは

学歴が高いのに、社会の底辺で喘いでいる人々がいる。

長時間労働と劣悪な環境で働く人々をワーキングプア、略してワープアと呼ぶようになって久しいが、高学歴でありながらワープアの身に甘んじている人々がいる。

高い教育を受け、社会的評価の高い位置から社会人生活を始めたにも関わらず、なぜ底辺であえぐハメに陥るのだろうか?

昔からあったワーキングプア

ワープアとは、嫌な言葉だ。

この言葉を聞くたびに思い出されるのが、石川啄木の「はたらけど はたらけど猶わが生活楽にならざり ぢっと手を見る」という一句である。

啄木は、当時の中学校、現代でいう高等学校を出ている。

 

当時中学校まで出るということは相当の高学歴だった。それは、その後の彼が代用教員となり、出版社に勤務するという経歴からもうかがい知れよう。

彼は高学歴ワープア、または学歴難民の走りだった。学歴はあれども貧しい人間の悲哀と悔恨の念を想うとき、涙がこぼれる。

とはいえ、彼が歌を詠んだのは24歳のときであり、貧しさを嘆いて絶望するにはまだ早い気もする。

高齢高学歴ワープアの悲哀

比べて現代の高学歴ワープアとして話題に登るのは、中年を過ぎた人々である。

高学歴の人間がレールから外れ、いくつかの間違った選択を長い間に続けた結果、底辺へ底辺へと落ちいていく。その様は、階段を転げ落ちていくかのようだ。

高学歴プア 東大院卒就職率56 、京大院卒はゴミ収集バイト」という記事もあった。

京都大学大学院で博士号を取得したAさん。30代前半で他の大学の授業を週に2科目担当する非常勤講師だが、同時に毎朝の「ゴミ収集アルバイト」も続けている。生活を維持できないからだ。

新卒一括採用、年功序列賃金を温存する企業にとって、「学部卒と同じく就労経験はないのに、年齢は上なので高い給与を払わなければならない存在」である修士・博士の採用は敬遠されるのだ。東京大学の大学院博士課程修了者の就職率はたったの56%。文系修士でも75%だ。

のちの研究によれば、石川啄木が貧しかった原因は、彼の風俗通いのせいだという。

同じように、現在の高学歴ワープアがそうなったのも、自分自身に問題があるケースが多い。

それ相応の才能や資格を与えられながらも活かせられなかった原因は、くだらないプライドや金銭感覚の欠如、努力不足、生活の乱れなどが原因だ。

ただ、全て本人に問題があるかと言えば、そう単純なものでもない。

「毒親」という諸悪の根源

なぜ彼らがそれほどの欠点を抱えるにいたったのか?

それを深掘りすると、幼少期のトラウマにいきつく例が多い。

たとえば「超高学歴25歳女性が生活保護に頼る深刻事情」という記事を読むと、そのあたりの事情が見えてくる。

「いろいろあったけど、幼いときのことで覚えているのが、公文の宿題をやっていなかったとき。母親の思うように進んでいなかったみたいでイスを振り回されて、イスが壁に当たってものすごい音を上げて壊れた。すごく怖くて、頭が真っ白になりました。母親はビンタとか蹴り飛ばすみたいな暴力以外に物を投げたり、包丁を突きつけたり、“殺す”とか“殺してみろ”みたいなことを絶叫することがよくありました」

この女性は、親のハラスメントによって精神に悪影響を受けた。トラウマが原因で、結婚もできず、まともな社会生活を送ることが出来ないと告白している。

学歴社会が色濃い日本で、高学歴というプラチナチケットを得ながら、活かしきれないのにはよほどの理由がある。

親の影響は、子供の一生を台無しにするほどに大きい。学歴を与えても間に合わないほどに。

毒親の影響から逃れるのは時間がかかる

私の周囲でも、高学歴ワープアとなった人間は親との関係が良くない者が多かった。

身近に、母親が新興宗教にはまり、小中と、布教活動につきあわされる日々を送った人がいる。

宗教の聖地を巡り、朝に夕に経文を唱える日々を送りながら、高校で自我に芽生えて宗教活動に関わることを拒絶したが、それを許さない。

飯を食わせないだとか、受験の時に無理やり教団の聖典をカバンに押し込まれたりだとか、無理強いを受けている。

お陰で、社会人となっても周囲とうまく人間関係を築けない期間が長く続いた。彼は今でも、親を憎み続けている。

高学歴ワープアを産んだのは戦後日本

それにしても、高学歴ワープアを育てた親たちはなぜ歪んだのだろう?

さかのぼって考えてみる。

江戸時代が終わり、封建時代が終わった印象が強いが、第二次世界大戦前までは身分社会であり、上の人間と下の人間との格差が大きいという点では同じだった。

戦後になって、名だたる大都市が軒並み焼け野原になって初めて、日本人の多くが同じスタートラインに立つことになった。

本当の学歴社会となり、学歴さえ身につければ、誰もが恵まれた生活を送れるようになる、平等な社会が一時期存在した。

その熱に浮かれて、子供に教育を無理強いした人々が、かつて数多く現れた。教育ママ、お受験ママと呼ばれた人々の中には、怒鳴りつけることでしか子供に勉強をさせられないバカな親が数多くいた。

つまり、親が歪んだのではなく、歪んだ人間が親となったのだはないか?

その中から、子供を高学歴者に育てられた者もいた。しかし、子供たちはそれに耐えられなかったのだろう。

しかし、お受験熱は今や冷めた。毒親が熱に浮かされることも少なくなった結果、高学歴ワープアが生まれることも、今後は少なくなるだろう。

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